ストラクチャー製作メモ

扇型機関庫の製作 その2
2009.2.14 
          
3.部材設計

◆モデルの基本構造

橋梁などの構造模型や建築模型などを使う仕事に携わっていた経験から、鉄道模型でも箱物(建物の類)はスチレンボードで作るのが一番やりやすいと考えていました。
しかし、この方法で木造機関庫を製作したところ、切り出しが全て手作業になるために大変な労力が必要となり、部材寸法の精度も思うように上がりませんでした。
これでは製作に時間がかかり過ぎますし、同じものを一つしか作ることができません。
そこで、部材寸法の精度を上げ、いろいろなバリエーションも作りやすい構造として、CAD製図からCraft ROBO(クラフトロボ)で切り出したケント紙を角材で補強する通称「サンドイッチ工法」を採用しました。
土木工学の世界では、鋼板の間にコンクリートを詰めて一体化したものをそう呼びます。
模型はそんな大げさなものではありませんが、使用するCADは実物の設計に使用するAutoCAD・LTですので、製図上の誤差はありません。部材寸法はクラフトロボのカッターの精度によって決まります。
たとえば機関庫側壁はこのような組立になります。



◆部材の製図

機関庫の前面、背面、側面に中柱を、このような部材の組立を考えながら寸法を決めていきます。基本となる柱寸法は、実物の写真判定では600mm〜1000mm程度と推定できるので、実物で900mm、1/150で6mmとします。これに接する前面の中柱は5mm角材を200#ケント紙(0.3mm程度)で挟み込む構造としました。0.4mmの差は組立誤差の吸収に使います。
また、機関庫背面の壁は周囲と窓部分を2mm角材で枠取りしケント紙で挟みます。

それぞれの部材について組立て方を決め、それに基いてAutoCADを使って部品図を作成します。
切出しをするCraft ROBOはA4版まで可能ですので、図面もA4の枠に入るよう模型寸法の1/1で描きます。
こんな感じですね。

   

中柱フレーム・側壁フレーム  裏面壁フレーム
   

窓枠・桟 裏面壁 
   


CADを使った部品図の作成における一番の注意点は、コーナーのカット線を必ずクロスさせることです。
Craft ROBOは優れた機能をもつカッターですが、カットの順番(機械が勝手に決めるらしい)や方向によっては、クリアに切り抜けない場合もあります。
特に直角コーナーをそのまま作図すると、カッターも一筆書きのように動くので、カットが不十分なことがしばしば起こります。窓の中抜きなどを除き、直角コーナーは1mm程度でいいので線をクロスさせるようにすると、プロッターは2回の動作でカットしますから、コーナーもしっかり切り抜いてくれます。

 

          
4.Craft ROBO(クラフトロボ)による切出し

◆Craft ROBO(クラフトロボ)とは

Craft ROBO(クラフトロボ)とはGRAPHTEC社が販売しているカッティングマシンで、製図プロッターのようなものですが、ペンの代わりに鋭利なカッターを装着することで、製図に基いた正確なカットができる優れものです。価格も2万円程度と安い(レーザーカッターなどは100万円単位です)割りには機能に優れ、CADデータの読込み以外にも線を直接読み込む機能もありますので、使い方によっては非常にコストパフォーマンスに優れた機械です。
ご記憶の方も多いと思いますが、これは2年程前のRM-MODELSで紹介されたことがあり、私はその記事を読むやすぐに市内のY電機さんへ在庫確認の電話をいれました。

 
   クラフトロボCC200はノートパソコンくらいの小さなサイズです    専用ソフトロボマスターでCADデータ読込みが可能 
◆データの読込み

Craft ROBOに付属してくるロボマスターというソフトを使ってCADデータを読み込みます。このロボマスターはdxf形式のデータ読込みが可能なので、通常使用するAutoCADのdwg形式をdxfにして保存しておきます。だいたいのCADなら可能だと思います。
次にロボマスターの画面で「ファイル」→「dxf読込み」と進むとデータを入れたファイルを開けられるので、お目当てのCADデータをクリックすると、タイトル画面の上に図面ウィンドウが開きます。
ところが・・・・無い!!  図面ウィンドウには枠線があるだけで、真更の白紙です。
初めての時はここで悩みました。ソフトは正しく動くのですが、読み込んだはずのデータがどこにもないのです。いろいろといじってみましたが原因不明。途方にくれて、メーカーさんに電話で問い合わせましたがさっぱりわからず、困惑が次第に怒りに変わりつつあったそのときです。何気なく図面ウィンドウをズームアウトしていったら、何と脇の方に小さく図形が見えました。
今はそうなることがわかっていますので何の問題もありませんが、私のCADとの相性なのでしょうか?
もし、同じようなことでCraft ROBOの使用をあきらめている方がいらっしゃいましたら、図面ウィンドウの虫眼鏡マイナスボタンを押し続けてみてください。

   
    図面windowをズームアウトして見つけたCADデータ      このデータを図面windowに近づけて切り出したい図面を枠内
    に移動します

  
◆部材の切出し

このようにしてロボマスターに読み込んだデータをCraft ROBO出力でカットします。
Craft ROBOにはカットする用紙に応じて3種類のカッターが付属していますが、私は一番厚紙用の赤色を使います。また、刃の固定方法には2種類があり、カッティング台紙を使う場合は紙の移動方向に対して90°にするよう解説がありますが、私はあまり気にせず、いろいろやってよく切れる方向を使っています。
プラ板に粘着シートを貼り付けたようなカッティングマットにA4サイズのケント紙を重ねてローラーでマシンに巻き込み、出力windowでカットボタンを押すと、自動的にカッターとローラーが動き出し、データ通りのカットが始まります。
側壁のような図面でも1分もかからずカットが終了します。

   
   Craft ROBO出力画面    カッティング台紙
   
    カットされたケント紙  
   
    窓枠を切出したカラーケント紙     粘着のあるカッティング台紙から慎重にはがす 
 これで、ケント紙部材の切出しが終わりました。次はいよいよ組立にはいります。 
 2009.2.14
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