D51新津機関区(長野工場)タイプの小加 

昭和40年代に新津機関区に所属したD51は長野工場で全検を受けるカマが多かったようです。新津機関区のD51は羽越本線(新津-酒田)と磐越西線(新津-会津若松)を主に白新線(新潟-新発田)、信越本線(新津-新潟)にも入っていましたが、厳しい風雪に晒される日本海縦貫を走りぬくためか、長野工場出場機には各種の改造が施されていました。
主な形態的特徴は下記の通りで、加工のポイントはここを外さないことです。
 ・キャブ屋根延長(ロングルーフ):(ロングキャブという言い方がありますがこちらの表現が近いように思います)
 ・機関士側、機関助士側の旋回窓
 ・テンダ上の大型重油タンク(1500Lタイプが多かったと思います)
 ・蒸気排気管カバー(ランボード〜ボイラー間の覆)
 ・ドーム前の斜めに肩を落とした手摺
 ・ランボードの白線
KATO製D51は基本設計が古いためにどうしても直したいところが多々ありますが、一番大きなものがキャブからのモーターの突出と、これに伴って機炭間隔が間伸びしているところです。今回は「Nゲージ蒸気機関車」サイトさんの記事を参考にBトレ用小型モーターに交換してキャブ〜テンダの形状を修正し、合わせて前面にスノープロウ、解放テコなど、基本的なもののみを装備しました。
なお、回転火粉止(クルクルパー)は好みではないですし、当時冬期間は外していましたので付けていません。
                                                            (記事の修正・追加 2010.7.4)


D51の実機のイメージ  
D51新津機関区(長野工場)タイプの特徴がよくわかるD51290[新]。ドーム前に設置されたなで肩の手摺とランボード上の蒸気排気管カバーが長野工場出場機の証です。

未熟な工作ですが実機の特徴だけは押さえました。
一番のイメージチェンジはキャブ〜テンダ部分ではないでしょうか。
Nゲージ蒸機を実物に似せるポイントはここだと思います。

メインフレーム一体だったダイキャスト製のモーター押さえを切断しBトレ用小型モーターに交換しました。
ドローバーの切り詰めに合わせてメインフレームの後端も切り詰めています。
古いKATO製品のロッド類で一番気になるのは合併テコが省略されていることですが、これも古いKATOのC57から拝借したものです。

ドローバーを切断し切詰めて補強の裏当てを付けたところです。
長さを目分量で決めたので、少々短か過ぎたかもしれません。

長野工場型の手摺は0.3mm真鍮線を曲げて作りました。スノウプロウ、解放テコ、ヘッドライトは銀河モデル製を使用しています。

ドームと一体の汽笛は削り落とし、KATOのC55用ASSY部品をつけました。蒸気排気管カバーはケント紙です。キャブ屋根の延長部分はケント紙で裏当てし、1mmのスチレンボードに切り込みを入れて曲げたものを継ぎ足しました。継目が目立ちますが、実物もそうだったので何もせず、キャブの雨樋を削って真鍮線で作り直しています。

オリジナルの石炭部分をカットし、開いたところにケント紙の裏当てをして銀河の大型重油タンクと石炭を載せます。
ドローバーの切詰めによって従台車とテンダのフレームが干渉するようになったので、テンダのフレームを切って短くしました。
機炭間隔が詰まるのはいいのですが、テンダフレームの切り詰めによってできた隙間の埋めるため、キャブ床板をケント紙で作りテンダ側に貼り付けました。
新津のカマの特徴のひとつでもあるテンダフレーム上の大型ライトも忘れてはいけません。

キャブ〜テンダの拡大です。オリジナルに比べると飛躍的にリアリティーがアップしたと思います。
モーターはほぼボイラー内に納まりますので、バックプレートも取り付けられますが、今回は運転席の背もたれ部に当るキャブ妻板を付けてこの空間を塞ぎました。
リード線代わりの真鍮線が目立つので後で塗装するつもりです。

上回り全体に艶消黒を吹付けて仕上げをします。
昭和40年当時の蒸気機関車はみな煤けていて光沢がなかったので、モデルオリジナルの半艶よりも当時の印象に近くなったように思います。

テンダ上に大型重油タンクを装備したカマを後ろから見るとずいぶんと背が高い印象がありました。タンクの両肩を落としているのは鉄道の建築限界内に収めるためと思われます。
従って重油タンクがキャブ屋根よりも大きく飛び出すことはないと考えて高さを決めましたが、実機の写真と比べるともう少し高くても良かったかもしれません。

加工の前後の対比写真です。
これを見るとキャブ〜テンダにかけての形がずいぶん変わったことがわかります。
後は面相筆でランボードの白線を入れたら完成でしょうか。
KATOの旧製品はスケールが大きいことばかり言われますが、生産開始から40年近く経った今でも、そのプロポーションは一番実機に似ているように思います。
実物の写真を見ながらほとんど寸法計測せずに行った加工ですが、元が良かったのでそれなりになったのかな・・という印象です。
 いつも参考にさせて頂いている「Nゲージ蒸気機関車」サイトのT管理人さんの「Nゲージは似顔絵です」という言葉が一番参考になりました。
                
架線柱を撤去した木造機関庫にもよくマッチします。

重油タンクの仕上げの粗さがそのまま出てしまいました。
1輌ではさみしいので中間を増やしたいですね。次はC57一次型にチャレンジの予定です。

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